都住研ニュース
第60号 ●長野市の空き家を活用した“古き良き未来”づくり
空き家見学の様子
カフェとサロンスペースとして活用
全国各地で、空き家・空き店舗を活用しながら、そこを核としてまちの魅力・活力を向上させる取組みが展開されています。
今回ご紹介する、長野市善光寺前界わいで展開される取組みは、その中でも多くの人々の関心を集めています。この取組みについては、2014年に都住研の有志で訪問し、ニュースレター54号(2014年12月発行)でも報告しました。「その後、どのような展開になっているのか」を知るために、有志で再度訪問してきました。
訪問した日は、ちょうど毎月1回開催されている「空き家見学会」。「長野・門前暮らしのすすめプロジェクト」を実施されている、界わいの改装&移住先駆けで住居兼編集事務所のナノグラフィカに集合し、オリエンテーションを受けた後、(株)マイルームの倉石さんのナビゲーションのもと、2時間ほどの空き家めぐりへ。見学会は第79回目とのこと。
光ハイツの個性的なコンセプト住宅
毎月欠かさず開催して、8年目を迎えます。リピーターも多く、参加を通じて移住や空き家改装に踏み出した人も少なくないそうです。
界わいで空き家の改装・活用に至ったものは「古き良き未来地図」という冊子にイラストで紹介されており、2014年にいただいた冊子には50件が紹介されていました。最新版のものには80件が掲載されています。一時のブームに終わらせず、継続的に取り組まれているが故の賜だと感心しました。
長野市内で所有する賃貸住宅「光ハイツ」の付加価値型リノベーションを展開されている、(株)アドイシグロの石黒さんにご案内いただき、「古き良き未来図」掲載されているものの何件かを訪問、お話をお伺いしましたが、まちへの根付きと愛着(縦)、人との繋がりと信頼感(横)の強さを感じました。
まち歩きの際に強く感じたのですが、単に空き家を見て回るだけでなく、まちの特徴や歴史を伺いながら歩くのに加え、まちの歴史上形成された細街路(自然発生型歩車分離通路)を歩くことで、まちの呼吸のようなものを感じながら歩くことから醸成されるのではないか、と感じました。
この界わいで活用されている空き家は、戦前の伝統的な建築物もありますが、戦後や高度成長期に供給されているものも少なくありませんでした。
住みながらまちに開く拠点、シンカイ
京都市内では京町家の市場は形成されつつありますが、ストックとして課題が多いとみられる旧耐震のストックの利活用や流通は進んでいません。もちろん耐震性等ハードとしての課題を解決していくことも重要ですが、ストックを活用する沢山のヒントをいただくことができました。
なお、せっかくなので、2015年に改装・オープンしたゲストハウスに宿泊しました。まちに近づけた気になれた、心地よい眠りでした。