都住研ニュース
第25号 ●パネルディスカッション
「京都型住まい・まちづくりモデルを考える」
コーディネーター:高田光雄(京都大学大学院 教授)
パネリスト:
井上俊之(国土交通省住宅局市街地建築課 課長)
卯田隆一(都住研代表運営委員、元京都市住宅局理事)
西村孝平((株)ハチセ(八清)代表取締役)
井上誠二(建都住宅販売(株) 代表取締役)
パネルディスカッションでは、最初に「京都の住まい・まちづくりの抱える課題」をそれぞれの立場から日々感じていることを話題提供し、共有していく中で「京都らしい住まい・まちづくりとは何か」ということについて活発に議論しました。そして細街路問題やまちなみ形成においていかに「公 共性」を担保させるか、またそのための意識をどう形成していくか、という課題について議論しました。まずは「情報公開」のような地道な活動から始めていくことが重要であることが指摘されました。また、地域に根ざし「顔の見える関係」を構築しながらまちづくりと一体的な住まいづくり、京都らしい住まいづくりを展開していくことで「建築の京都ブランド」を形成し、産業の活性化を図っていくことが重要で、このために都住研が中心となって役割を果たしていくことができるのではないか、など様々なアイデアが出されました。
高田光雄
道の公共性・共同性をめぐっては様々な意見が出ているが、まずは情報を公開して、その利用・管理ルールについて市民同士が議論をしていく機会をつくることが重要。神戸市などで取り組まれているように、中心線を明示して視覚的にルールが分かるようにすることも効果的。道のマネジメントは歴史的に見てもまちづくりの基本である。
井上誠二
最近は「京都らしい住宅が欲しい」「和風の住宅が欲しい」という声があり、古いものが見直されつつある。しかし商品開発ではデザインを見ても流行を追っているだけで、特徴はない。京都らしい住まいを一事業者だけでなく、業界全体で「京都の住宅はこうですよ」という物を示せないだろうか。
卯田隆一
今後は価値観を変えて取り組んでいく必要がある。京都らしい、個性のあるまちづくりを進めていく上で当面は、「安心・安全の住まい・まちづくり」が必要。京都のまちづくりは、一度に建替えるのではなく、徐々に体質(防災や建築の防火性)を変えていくということが必要だと思う。
西村孝平
中古住宅の流通は、ストックの多い京都にとっても重要なこと。建築基準法上の再建不可を不可にするのではなく、これを生かす方が京都の住宅としてマッチするのではないか、と感じている。耐震性など京都独自のルールを定めることが必要。
井上俊之
世の中は公正・透明を求めるようになっている。そういう背景の中で、今まで暗黙となってきたことどう評価し、それを建築基準法でどうするか、ということが突き詰められていると思う。そこには地方分権の大きな流れがある。