都住研ニュース

第70号 ●中堂寺前田町路地再生長屋プロジェクトは個別解か?

 都住研で2018年から取り組んできた「中堂寺前田町路地再生長屋プロジェクト」。
 再建築不可の下京区の袋路に、4家族が暮らす子育て支援住環境(長屋建て4戸の賃貸住宅とコモンズ的な路地空間を整備)が完成しました。そして、この取り組みは「公益社団法人日本不動産学会業績賞『国土交通大臣賞』」、「第3回国土交通省 地域価値を共創する不動産アワード『優秀賞』」の2つの賞をいただきました。
 一方、長い年月をかけて取り組んだものでもあり「特殊解ではないか?」「本当に他でも展開できるのか?」というお声もあろうと思います。第74回定例会では、この点を徹底的に深掘りすることを目的に、第三者の方をコーディネーター・パネリストにお迎えし、忖度なしの意見交換を行いました。
 パネルディスカッションの様子は内面に掲載しますが、論点は以下の通りです。

1)子育て環境としての路地の価値

●路地は低年齢の子どもがいる家庭に安全で快適な環境を提供 ●高齢者と子どもが自然に交流できる「仮想じいちゃんばあちゃん」的コミュニティの形成が可能 ●比較的安価に入手でき、子育て世代の都市居住を可能にする経済的メリット

2)路地保全と京町家保全のバランス

●路地を残すことで街区全体がマンション化するのを防ぎ、京都らしい都市空間が維持できる ●建物の保存だけでなく、コミュニティや暮らしの文化を継承する視点も重要 ●路地は低年齢の子どもがいる家庭に安全で快適な環境を提供

3)行政との連携

●京都市による所有者探索の協力や、財産管理人選任プロセスでの検察官申立てが実現 ●特例許可取得に向けた建築審査会との対話により安全基準が構築 官民学の共通ビジョンを持った長期的な連携関係

4)事業の持続可能性

「通路環境を維持するための協定」締結による住居用途の担保 ●子育て世帯向け家賃減免制度の導入と他との差別化 ●クラウドファンディングなど多様な資金調達モデルの検討余地 ●コストダウンと品質確保のバランスの難しさ

5)今後への展望

●「個別解」ではなく「道しるべ」として活用 ●ノウハウと人的ネットワークを次代に継承 ●京都市の「包括同意基準」の活用による路地再生促進

定例会ダイジェスト ●住まい・まちづくり拝見!
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