都住研ニュース

第66号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。

協調建て替えを活用した路地空間の再生

〜京都市下鴨宮崎町

 背景に鴨川が流れる、下鴨の閑静な住宅地。第一種低層住居専用地域、風致地区第3種地域に加え、鴨川特別修景地域にあります。
 袋路に面して2戸一の2軒と戸建ての合計3軒の町家がありますが、これまで大規模修繕や再建築ができず建物の老朽化が進んでいました。ここで、協調建て替えの協定を締結し、2戸一の家屋のうち1軒の新築が進められています(事業主:八清)。

 通常、袋路に面した敷地で新築は極めて困難ですが、今回は
  @裏側が河川敷に面していて避難扉を設置することで二方向避難が可能になること
  A狭小敷地(約63m²)で戦前の既存不適格建築物であることから建蔽率と敷地後退が緩和されること
  B地権者全員の合意が得られたこと
により連担建築物設計制度を活用し、建物前面の通路幅員(約2m)の拡幅なく新築が可能となりました。

計画プレート  路地再生を進める際には、建築に関する規制などいくつかハードルがありますが、地域の合意が得にくいという点も大きな課題となっています。とりわけ通路の権利が共有か短冊状で所有されている場合は合意が困難なケースが多いです。
 また、居住者の高齢化や空き家化など積極的な土地活用や資産向上策への思いが共有されないことも要因としてあります。
 今回の宮崎町のケースは、通路に面した3軒の方々が協定の締結により再建築が可能となることに意義を見いだし、積極的な資産活用に理解を示されたことにより可能となりました。路地の入口には今回の計画がプレートで示されています(右写真)

 マンションや袋路は「集まって住む」というリテラシーが求められ、合意形成が可能な基盤が不可欠です。
 この基盤の有無が、資産活用に向けた鍵を握っているといっても良いでしょう。


表の通りから路地を見る

部屋から鴨川を望む

新築後の玄関まわり

建替前。内部は床が抜け朽ちる

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