都住研ニュース

第51号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。

シェアする、新しい暮らし

〜京だんらん 西陣千両ヶ辻〜

 「京だんらん」は、(株)八清が手がけるシェアハウスのシリーズです。「京だんらん西陣千両ヶ辻」は、西陣で生糸を商っていた築90年の京町家が、8人が共同で暮らすシェアハウスとして新たなスタートを切りました。従前の中庭や茶室・蔵などをできる限り残し、一方で入居者が交流する共用部分の設備とデザインにこだわった改修が施されています。
 「うなぎの寝床」の奥行き30mの土間がある町家は敷地約110坪という大型町家。生活拠点になる母屋(建物部分)と蔵を含めた延べ約80坪の大きな建物と菜園にもなる約37坪の庭を備えています。
 水色を基調にしたキッチンは、「食と趣味」をテーマにしており、入居者が裏庭で育てた野菜を調理することも可能。日当たりの良いダイニングでは、入居者の方がお弁当を詰めておられました。ダイニングの隣にはちゃぶ台とテレビのある茶の間があり、その向こうには手入れされた坪庭があります。このこの坪庭に面する縁側には思わず腰かけたくなる椅子が用意されていてくつろぎを演出しています。
 家の蔵も入居者の共用空間。本棚が並ぶ1階は、読書やちょっとした仕事もできそうな机と椅子。棚には梅酒が漬けられていました。2階は趣味のスペースとして活用されており、毎年この界隈で9月に実施している「西陣千両ヶ辻文化祭」では蔵を近所の方に開放したそうです。
 これら全体の7割を占める共用空間とシンプルなプライベートルーム。まさに、家族と暮らす住宅そのもの。廊下やちょっとしたコーナーに椅子やテーブルが置かれ、個室の延長として共用空間があります。「私」と「シェア」の部分がシームレスに繋がっていました。シェアのメリットを最大限に享受できる新しい賃貸住宅は、人気の物件となっています。

  京だんらん西陣千両ヶ辻(京都市上京区大宮通今出川下る薬師町243番地)

個室には「鹿ヶ谷かぼちゃ」など京野菜の名前がついています
個室には「鹿ヶ谷かぼちゃ」など
京野菜の名前がついています
玄関の吹き抜けは明るく開放的な共用空間
玄関の吹き抜けは明るく開放的な共用空間
日当りの良いダイニング・キッチン
日当りの良いダイニング・キッチン
「貸しルーム」と、シェアハウスは別物です。 ●定例会ダイジェスト
PDF版

トップ > 都住研ニュース > 51号