都住研ニュース
第50号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!
ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。
〜新しい住宅地を舞台とした、「暮らし×京都の技×美意識」の取り組み
〜一団地認定を活用した「華り宮」〜
(株)ゼロ・コーポレーションにより開発・分譲されている「嵯峨二尊院『華り宮』」は、二尊院をはじめとした由緒ある神社仏閣が集まる嵯峨野の地にあります。建坪率が20%という厳しい条件にあるこの地で、建築基準法86条の第1項「一団地認定」に基づき計画されました。「平成の京町家」に認定された住宅の意匠や配置については、これら地域の歴史や風致に調和するよう配慮し、また区分所有によるマネジメント手法の採用や自然エネルギーの積極採用、セキュリティシステム等安心して暮らし続けることができる仕組みが導入されています。
6月29日、30日に実施されたオープニングイベントでは、この立地の特性を鑑み「京都に暮らすこと」「住まいだけでなくまちに暮らすこと」を軸に、住宅地や立地するエリアを「構想する庭」と位置づけ、このコンセプトに基づくインテリアの提案、リレートークが実施されました。
暮らしのストーリーを想定し、優れた京都の技を活かした品々での部屋の演出、京都の老舗企業や作家、プロデューサーなどのクリエイター、研究者、住職をパネリストとしたリレートークでは「発想の解放区・小倉山麓で暮らすということ」「人々との共生(ともいき)による暮らし」というテーマで展開、この地の歴史やまちづくりの文脈を踏まえ、新しい「井戸端」「交流の仕掛け」「外に開くまちづくり」の重要性と具体的な提案が示されました。
住宅を供給するだけではなく、物語の創造・発信による付加価値の向上と居住者の満足度の向上、そして末永いおつきあいによる事業者と住民、そして地域との新しい関係の構築に向けた試みが、始まりました。
トークイベントの様子 |
ホームパーティを想定した設えの提案 |
共用空間を利用した野点 |