都住研ニュース

第47号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。

〜ストックを活用した「これからの住まい」へ 観月橋団地のリノベーション

 日本は「衣食住」の衣・食についてはこの順番に洗練されてきています。今はまさに住が洗練されるときと考えています。今住んでいる環境を良くして、家族と一緒にハッピーになるには、団地の持つ可能性が大きい。その空間特性は、その可能性を秘めていると感じます。そのためのR不動産でありたいと考えています。

観月橋団地  UR都市機構の観月橋団地(京都市伏見区)は、昭和37年に管理が開始され、築50年を数える団地で、空き住戸も増加してきていた典型的な団地です。
 この団地で現在、リノベーションが進められており、定例会で話題提供いただいた馬場正尊さん率いるOpenAと、星田逸郎建築設計事務所が手がけられています。
 緑の多さやゆったりとした敷地など団地の環境と住戸空間に両者の個性を活かしたリノベーションとなっています。
 「nDK」といった典型的な間取りパターンを改め、「土間を持った住戸」や「可動式間仕切りを持ったリビング」など住文化に学びながら現代のニーズやライフスタイルを受け止めるものとなっています。
 リノベーションにあたっての苦労点は、洗濯機や冷蔵庫の置き場所がなかったこと。40平方メートルの限られた住戸面積において、建設当時の家庭には、これらが一般的ではなかったからです。
 排水経路の工夫や空間の処置などで対処されました。さらに改修費用は家賃と相殺されるために、限られた改修費用で市場家賃との乖離がないようにする必要があったそうです(15年で改修費用を回収する家賃設定)。
 「階段室タイプの団地は、2方向に窓がとれます。ですので風通しが良く、エアコンがなくても夏が過ごせるように設計されています。夏場ここで工事をしていましたが、風が通り、気持ちが良かったです。古くて新しい団地の価値を再認識できました」、「団地は緑が多く、隣棟間隔が広いという特徴があります。その空間を活かしながら、50年前に設計・施工した人と対話をしながら進め、大変楽しい経験となりました」と馬場さん。

 築年数を経た団地のスケルトンを活かし、限られた予算の中で現代的な生活を営める器としての団地再生。「古くて、新しい」と魅力を再発見した若い世代から人気を集めているそうです。新しい入居者を迎え、賑わいを増した団地の未来が、これからの住まい・まちづくりに多くの示唆を与えてくれます。
内装 内装
躯体の素材感を活かした内装 リノベーションした内部

プロジェクトの内容は、webサイト(http://kangetsukyo-danchi.jp/)で公開されています。

福岡県の事例に学ぶ、不動産ビジネス ●定例会ダイジェスト
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