都住研ニュース

第44号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。

〜新しい住まい方・暮らしを提供する、シェアハウス

 今回は、株式会社八清が手がけられた、京町家を活用した『京だんらん東福寺』(東山区)をご紹介します。
 我が国の人口は、2005年にピークを迎え、世帯数のピークも2015年に減少していくと推計されています。また、2030年には夫婦と子どもで構成される世帯は、全体の2割程度に減少するとされています(現在は約3割)。つまり、「家族」の姿が変わってきている、そして変わっていくことが予測されます。そして家族が暮らす「住まい」も当然変わっていくことが予想されますし、大規模な住まいは家族のスタイルに合わなくなっていく可能性があります。
 今回完成したシェアハウスは、築年数は不詳だそうですが、路地奥にある戦前木造の住宅でした。これを本来の町家の姿に戻しながら、シェアハウスとしてリノベーションされました。内部は6つの入居者の部屋、そして和室やキッチン、インナーテラス、中庭等の共用部分。それぞれのプライバシーを守りながら集まって住まう、豊かな共用空間が用意されています。
 「だんらん(団欒)とは車座に集まって、なごやかに楽しむこと。ご縁があってシェアハウスで一緒に住む方々が楽しい時間を過ごして欲しいという思いを込めて、京都と一家団欒をあわせて『京だんらん』と名付けました」と、八清の西村社長は語ります。設計にあたっては八清の企画・工事担当と設計士さんや家具屋さん、庭師さん達の京都の各種専門家と相談をし、デザインや機能性、快適性の良い楽しい家を創るよう工夫されています。
 『京だんらん東福寺』では、八清が、(1)家賃管理・建物のアフターメンテナンス、(2)入居者間のコミュニティ管理、(3)共用部の清掃を行い、シェアハウスとしての安全性・快適性を保つようにされています。既に入居希望者で満室となっているそうです(2011年3月末現在)。
 規模の大きな町家を居住用(戸建住宅)として住み継ぐ、ストック活用の不動産事業の新しいスタイルとしても、大注目です。

玄関脇のダイニング
玄関脇のダイニング
中庭横のインナーテラス
中庭横のインナーテラス
2階にある洗面台
2階にある洗面台

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