都住研ニュース

第42号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。

〜狭小間口でも豊かに、快適に暮らせる住まい〜

外観
虫籠窓が再現された外観

 今回拝見したのは、「京山々・木の家づくりの会」が手がけられた、「Ni邸」(上京区)です。周辺には町家が集積し、今なお京都の住文化、コミュニティが残る地域です。
 本物件の敷地は間口2.5間(4.51m)の敷地に2.0間(3.64m)で、一般的な住宅の性能を確保する上で最小寸法ともいえます。一方、京都は古くから高密に暮らしてきた暮らしの知恵が継承されており、それを具現化するものが京町家ともいえます。つまり、本敷地での家づくりは、京町家を手本にすることが必然と考えられました。
 施主さんは、住まいづくりに関する勉強を重ねてこられるうちに、京町家の奥深さ、木の文化の楽しさを実感されるようになっていかれたそうです。古材を友人から譲り受けたり、玄関の広い土間のタタキを自分たちで仕上げたりと、まさにDIYで住まいづくりを進めてこられました。
 家の内部は、古建具がふんだんに使われており、新築にもかかわらず、この地域に昔から存在していたような落ち着いた空間となっています。一方、温熱パネルなど快適に暮らすための設備も備え、過去からの住文化と現代の技術がうまく共存した住まいとなっています。
 広い土間を備える玄関にいると、通りから裏に向けて涼しい風が通り抜けました。梅雨の合間の蒸し暑い日に見学させていただいたのですが、暑さを忘れるような爽やかさでした。
 京都の住文化を現代に継承し、さらに家づくりに参加しながら、家族の新しい暮らしの舞台を整えていく。京都の暮らしとまちの文化を継承する「新町家」が、ここにも生まれました。

■本物件については「京山々・木の家づくりの会」のwebサイトに詳しく掲載されています。  http://www.kyo-sanzan.jp/

内観1
広い空間の玄関。古材を多く使う

内観2
室内では古建具をふんだんに利用

事業性の観点に立つ町家等再生のあり方とは? ●定例会ダイジェスト

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