都住研ニュース

第42号 ●事業性の観点に立つ町家等再生のあり方とは?

 都住研では、昨年度にNTTデータ経営研究所との共同研究として「事業性の観点に立つ町家等再生のあり方」に関する研究を行いました。これは、国土交通省の事業である「中小不動産業者の事業高度化に関するモデル事業業務」の一環として実施したものです。

 不動産業界は、不動産証券化等の新分野の出現のほか、多様化した消費者ニーズに応じた多様な業務、金融機関等他の業種と連携した新しいビジネスモデル等、不動産取引において消費者に付加価値を提供する先進的な事業が展開されており、業態は極めて多様化、高度化しています。こうした不動産業を取り巻く環境変化のなか、大手業者等では新規ビジネスモデル構築、事業展開の多角化、収益基盤の強化等を図っているものの、中小業社では同様の取組を行うことが多くはありません。今後、不動産業を取り巻く環境変化は一層進展するものと予想される中、不動産市場全体の基盤強化を推進し更なる発展を図るためには、各地域に密着して事業展開する中小業者の事業高度化と人材育成は不可欠であり、事業高度化についての環境整備を推進することが必要です。本調査は、京都の資源である「京町家」を始め、住宅ストックを事業性の観点から活用・流通する方策を検討しました。

町家風景

 研究会では、各企業が取り組むストック活用やマーケティングに関する内容を説明・共有し、これらを基に物件化、流通化、連携、モデル化に関する議論を深めました。さらに経営確立のための着眼点の整理を行い、ストックの流通不動産としての加工とマーケティング、モデル化の検討を行いました。NTTデータ経営研究所からも、以下のメッセージをいただいています。
 「不動産は重要な地域資源、社会資本であり、風土、歴史、文化、暮らしなど地域の特性をいかに反映して活用するかが大切です。不動産業が地域に支持され発展するためには地域を愛し貢献意欲を持って事業に取り組む姿勢が求められるとともに、ビジネスとして確立し自立・継続することが必要です。地域貢献と事業性確保の両方を確立することは難しく、都住研ご関係者が取り組む「京町家再生」がこうした課題を解決した事業モデルの代表例であると捉えております。皆様のご協力に感謝し、ますますのご活躍を期待しております。」
(NTTデータ経営研究所 村橋保春)
会議風景
検討体制は、都住研から井上(建都住宅販売)、西村(八清)、山本(長栄)、吉田(フラットエージェンシー)を主軸に、高田(京都大学)、魚谷(魚谷繁礼建築研究所)、大島(スーク創生事務所)が参画、加えて京都大学大学院工学研究科から安枝、森重他が参画しました。

ストック活用の取組として、空家流通に向けた事業構築に取り組みます!

 本研究では、町家等の再生に関する事業モデルを検討しましたが、今後は既存住宅流通市場も視野に入れた活用を検討するために、住宅ストック数の10%以上を占める空家の利活用、流通に関する検討を進めます。この取組は、都住研の20周年記念事業としても展開予定です。ご意見やご提案等、お気軽に都住研にまでお寄せください。

定例会ダイジェスト ●京都の住まい・まちづくり拝見!

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