都住研ニュース

第46号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

ここでは、京都の住まい・まちづくりに関するユニークな、新しい取り組みを紹介します。

〜建築・デザインを学ぶ学生が参加する賃貸住宅ストックの付加価値づくり

プレゼンの様子  今回は、株式会社長栄と京都造形芸術大学がコラボレーションをして行う「スチューデント・デザイナーによるマンションリフォームプロジェクト」をお伝えします。
 学生数の減少や賃貸物件の増加、シェアハウスなどの増加などにより、ワンルームマンションの空き室が多く発生しています。賃貸マンションオーナーにとっては、空き室対策が重要な課題となっています。
 本プロジェクトは、京都造形芸術大学の環境デザイン学科の教授の指導のもと、学生が「自分が住みたい」と思う室内のリフォームプランを2ヶ月かけて作成1人ずつプレゼンテーションを行い、学内と長栄内での投票により優秀作品にい選ばれたプランを長栄が所有するワンルームマンションで実際にリフォームを行うものです。この部屋は実際に賃貸市場に流通させ、参加した学生は大学の単位が取得できます。
 建築やデザインを学ぶ学生は、プラン構築の過程では学生同士のディスカッション、リフォームの検討の過程では施工を担当する工務部の人と構造や材料に関する検討を重ねます。机上の検討ではなく事業性や実務を学ぶ場ともなっています。
 案内いただいた長栄の奥野雅裕マネージャーは「実務の中では思いもつかないような斬新なアイデアが刺激になります」と取り組みを振り返り笑顔で話されました。第1期のプロジェクトでは3つの提案が選ばれ、伏見区・下京区・中京区のそれぞれのマンションで施工されました。うち2件は、既に入居済みということです。
 原状回復義務や改修の制限など、自分のスタイルに合わせた暮らしへの改変がが困難だと思われるワンルームマンション。しかし近年のDIYブームや原状回復義務の緩和、内装の買取請求など、賃貸住宅を取り巻く背景は変わりつつあります。学生が自分たちの夢を想いをこめたリフォーム。ストックの付加価値づくりに繋がると共に、愛着の持てる住まいづくりに繋がることが期待できます。

スチューデント・デザイナーによるマンションリフォームプロジェクト(http://student-reform.com/)

室内
メモをインテリアに変えるコルクが壁面に
室内
室内
CDのジャケットもインテリア。築約20年

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