都住研ニュース

第24号 ●京都の住まい・まちづくり拝見!

 京都では、様々なタイプの住宅供給の試みが始まっています。今回は、住まい手が居住空間を分け合いながら共同生活を営む「シェアハウス」として、学生に提供されている「シェアフラット桜木」と、下鴨の地に生まれたハイクオリティの賃貸住宅「ル・グラン井筒」を紹介します。いずれも、都住研会員であるフラット・エージェンシーが提供されている物件です。

シェアフラット桜木

シェアフラット桜木  学生が多く暮らすまちである京都。「京都に学生さんを多く呼ぶためには、学生生活を楽しく過ごせる『住まい』づくりがとても大切と考えます」。そのような場を提供するために改修されたのが「シェアフラット桜木」です。築50年を超える老朽化したアパートを改修し、京都造形芸術大学の推薦下宿(女子専用)として生まれ変わりました(19室)。
 芸術大学の学生のみが入居することもあり、廊下には学生の作品を展示できるギャラリーにもなります。年に一度はギャラリーとして開放し、近所の方にも足を運んでもらうことを計画中とか。広い中庭や外交はまだ整備されていませんが、造園科の学生達も交えて、住民で整備していくことを展望されています。
 昭和40年代の学生の住居には、このようなシェアフラット形式の住宅が多かったのですが、段々とワンルームマンションが増加していきました。しかし最近はこのような共同住宅も見直されはじめています。マンションの家賃の半額という金銭的なものだけでなく、「ともに住まい、協働で住まいを運営する」という意識が育ち始めてきているからでしょうか。
 この企画はフラットエージェンシーの独自企画ですが、このような取組が市場性を持つことで、京都に多様な学生の住まいの選択肢が増えることが期待されます。内部には住民が共同で使用するラウンジや調理室が新たに加えられ、共同の工房を兼ねた洗濯室とシャワー室が備えられています。

ル・グラン井筒

ル・グラン井筒  琵琶湖疎水沿いの豊かな環境を有する下鴨に建設中の「ル・グラン井筒」は、「これからの賃貸住宅はどうあるべきだろうか」という問題意識に立ってコンセプトが練られた住宅です。
 広大な敷地に2棟2階建ての合計4戸の住宅。各戸それぞれ独立性が配慮されており、壁は隣家に接していません。専有面積はいずれも100平方メートルを超える広さで、建築家やインテリアデザイナーの創意工夫がこらされた間取りとなっています。
 「家を所有するのではなく、利用していく。でも住まい方にはこだわりたい」。このような考え方の受け皿となる賃貸住宅が生まれつつあります。

※メモ
 ・改修費:約2,000万円
 ・家賃:27,000円+共益費5,000円
  (フラットエージェンシーで全て22,000円で借り上げ)
 ・募集:大学で募集、抽選
 ・維持管理:週に数回共用部分の清掃に入る
 ・門限等:門限は23:30。シャワー(無料)は7:00〜24:00
 ・敷金/礼金は無し。入館料として当初に30,000円
 ・インターネットは光ファイバーを敷設。

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